Doujin Full-Course 2018



同人フルコース2018……!
初回の2017から一年が経ちました。
またこうしておすすめをまとめる環境があることを嬉しく思います🍽

前置きは昨年書きましたので省略させていただきまして、早速メニューから。


【Menu】Doujin Full-Course 2018

前菜『名前のない、』森瀬ユウ
スープ『時の果てのファイア・ガーデン』だも
魚料理『あけびかづら』磯崎愛
肉料理『騎士の剣』宮田秩早
肉料理『雨街で残響』転枝
ワイン『すな子へ』泉由良
チーズ『踊る阿呆』オカワダアキナ
食後酒『微笑みと微睡み』泉由良
デザート『さよなら、おやすみ、またあした』
コーヒー『旅人よ立ち止まれ』風野湊
(敬称略)


前菜『名前のない、』森瀬ユウ


野菜のテリーヌ。
色合いは落ち着いていて、ソースは恐らくりんごや鶏ガラあたりを使っている。日本人好みの味わいだ。
具材にはつくしや菜の花、その息遣いが聞こえる。
朝から何も口にしていなかったその舌に優しく寄り添う短編集。


スープ『時の果てのファイア・ガーデン』だも


酸味の効いたミネストローネ風トマトスープ。
仕込みに時間がかかる分、数々の具材がしっかりとスープに馴染んでいる。
時折その酸味がふと胸をつき、塩味と混ざって味わいが深くなる。
二つの世界を行き来する連作短編。


魚料理『あけびかづら』磯崎愛


燻してあるな、ということはわかるけれども使われたチップが検討もつかない。
付け合わせに香の物と柚子胡椒の効いたディップらしきもの。すり潰したあけびの果肉だろうか。
焼き物のごとく深く香り立つ蛇腹本短編。


肉料理『騎士の剣』宮田秩早


抽象的な形に盛り付けられたローストビーフ。
そう!これよ、これ!と言いたくなる味わい。ソースはお好みで三種類全てを楽しめる。
薄切りながら、これでもかと浪漫の盛り込まれた短編。


肉料理『雨街で残響』転枝


まさかの肉料理二品目ですがこちらは打って変わって熊ステーキ。
一際目立つのがアクの強さ、パンチの強さで口に持っていき歯を立てた瞬間が勝負。
お腹が膨らむ前に食べきってしまう上、呆然とする後味です。


ワイン『すな子へ』泉由良


ヴィンテージの赤。
層によって味わいが変わるその一本の、最も強く酩酊を誘う層だけがグラスに注がれる。
目眩でも起こしてしまいそうな。
舌で味わい呑むのではなく、味覚の奥で呑む、呑まれる短編二本立て。


チーズ『踊る阿呆』オカワダアキナ


ブルー・デ・バスク、若い青カビチーズの味わいとモッツァレラの弾力。
このモッツァレラを絞ると青カビチーズとのバランスがとれなくなってしまうので、この水分はなくてはならないものなのだろう。


食後酒『微笑みと微睡み』泉由良


辛口のシェリー。
食後酒と聞いて思っていたよりは全然甘くないけれど甘い。
シェリーとはこういうものなのだなとグラスを空け立ち上がった途端によろめく。
油断は禁物です。


デザート『さよなら、おやすみ、また明日』


落ち着いた大人味のコーヒームース。
飾りつけに一枚菫の花弁がのっている。
エスプレッソ、モカ、ラテの層の他、スポンジに珈琲とブランデーを染み込ませた層が深みを増している。
寝る前に口にしたいアンソロジー。


珈琲『旅人よ立ち止まれ』風野湊


街角を思い起こすブレンド。
勿体ぶることなく湯気ごと広がった香りは最後まで途切れることもない。
店を出たあともコーヒーブレイクのたびにふっと思い出すことだろう。
微かに、しかし確かに残る旅の記録。



説明になっていませんね相変わらず。
味覚というものは本当人それぞれなものですけれど、文章も結局はそういう部分があると思うのですよね。
まあ年に一度のことですし、このおすすめスタイルに悔いはないです。
気になるものがありましたらぜひ読んでみてください……!
それでは……⚓️

桜鬼